日本全国でスマートシティの取り組みが加速しており、多くの自治体がそれぞれの地域課題や特性に応じた革新的なプロジェクトを推進しています。以下に、主要な自治体ごとの取り組みとその具体的な内容について詳しく紹介します。
主要なスマートシティ推進自治体
北海道札幌市
札幌市では2024年度から「新・さっぽろモデル事業」をスタートさせ、タブレットやスマートフォンを積極的に活用した地域活性化プログラムを展開しています。特に、高齢者や子育て世代を対象に、健康管理アプリやオンライン診療を導入し、地域住民がより健康的で快適な生活を送れるよう支援しています。また、デジタルを通じたコミュニティ形成にも注力し、地域イベント情報の共有や、防災情報のリアルタイム発信などを行っています。
福島県会津若松市
「スマートシティ会津若松」では、ICTをフル活用した街づくりが進行中です。市内に設置されたセンサーやカメラから収集されるデータをもとに、交通流の最適化やエネルギー効率の向上を図っています。さらに、2024年9月には「AiCTまつり」を開催し、地元住民が実際にスマートシティ技術を体験できる機会を提供しました。このイベントでは、顔認証を用いた入場管理システムや、自動運転車両の試乗体験などが人気を集め、市民との対話を通じた共創の場としても大きな成功を収めました。
東京都渋谷区
渋谷区では、多様性を尊重しながらデジタル技術を融合させた新しい街づくりを進めています。「SHIBUYA CITY DASHBOARD」を導入し、交通データや観光データ、環境データをリアルタイムで視覚化。これにより、行政、企業、住民が共通のデータをもとに議論や施策を検討できる体制を整備しました。また、外国人観光客向けに多言語対応の情報提供や、混雑予測を活用した回遊支援も実施しており、国際的な街づくりモデルの確立を目指しています。
神奈川県横浜市
横浜市は2010年から先駆的にスマートシティプロジェクトに取り組んできた都市の一つです。再生可能エネルギーの導入やエネルギーマネジメントシステムをいち早く導入し、持続可能な都市を実現しています。2024年10月には「アジア・スマートシティ会議」を開催し、国内外の自治体や企業が一堂に会して、最新技術や成功事例を共有。横浜のモデルを海外都市へ展開する動きも見られ、国際都市としての役割も強めています。
富山県富山市
富山市では、「SCRUM-T」という独自のプラットフォームを運営し、スマートシティの基盤づくりを進めています。市内の主要交差点や公共施設にセンサーネットワークを張り巡らせ、交通状況のリアルタイム把握や、災害時の迅速な対応を可能にしています。また、地元企業と連携した産業活性化プログラムも展開しており、データを活用した物流改善や観光案内システムの整備など、地域経済の底上げにも貢献しています。
兵庫県加古川市
加古川市では、安全・安心な街づくりを目的に、AI技術を駆使した「高度化見守りカメラ」や「見守りサービス」を導入。高齢者や子どもたちが安心して暮らせる環境整備を進めています。特に、AIが不審な動きを検知すると即座に警察や防災センターに通報するシステムを備えており、犯罪抑止効果も期待されています。さらに、地域住民が手軽に利用できる防犯アプリを提供し、住民同士の助け合いの仕組みも強化しています。
その他の取り組み自治体
- 東京都港区：3D都市モデル「バーチャル竹芝」を活用し、未来の都市像をリアルに再現
- 香川県高松市：「スマートシティたかまつ」を掲げ、教育やヘルスケア分野でICTを導入
- 埼玉県さいたま市：「美園タウンマネジメント」を通じ、交通・商業・居住の連携を強化
- 千葉県柏市：「柏の葉スマートシティ」では、環境共生都市としての取り組みを推進
- 愛知県名古屋市：データ連携基盤を活用し、防災や観光促進プロジェクトを展開
- 大阪府堺市：スマート交通インフラと連携し、渋滞緩和と公共交通の最適化を実現
- 広島県広島市：スマートエネルギー管理システムを導入し、地域全体の電力最適化を推進
- 宮城県仙台市：防災テクノロジーを活用した「防災スマートシティ」を構築
- 沖縄県那覇市：観光業と連動したIoT活用プロジェクトを展開し、観光支援と地域経済振興を目指す
2025年3月1日時点で、LINEを活用したスマートシティ関連サービスに参加している自治体は520に達し、全国の自治体の29.1%、人口カバー率では63.9%に及んでいます。
日本各地で展開されるスマートシティプロジェクトは、地域ごとの特色を反映しながら多様な形で発展を遂げています。今後もさらに技術革新と地域の連携を進め、より住みやすく、持続可能な社会の実現に向けて歩み続けることが期待されています。